「チェシャを探しに行かなくちゃ…!」
「!」
ぱっ!と森へ戻ろうとする私をシラユキくんが引き止めた。
「まさか、また森の中に入るつもり…?!確かにチェシャのことは心配だけど、危険だよ…!」
私は、そんなシラユキくんの言葉に、ぱっ!と答える。
「大丈夫!イモムシさんの煙を見失わなければまたすぐに戻って来れるよ!」
「そうかもしれないけど…」
不安げな表情のシラユキくんは、私を見つめて林檎色の瞳を揺らしている。
(こんな森に1人で残されたら怖いに決まってる。…早くチェシャに帰り道を教えないと…!)
私は、シラユキくんに笑いかけながら、どこから来るのか分からない自信を頼りに言い切った。
「すぐに戻って来るから!心配しないで!」
「えっ?!」
シラユキくんの制止を振り切り、私は森へ向かって駆け出した。
幸い、煙は時間が経っても消えないようだ。
「待って、エラちゃん!それなら僕も…」
と、その時。
シラユキくんの声がぷつり、と途切れたことに、私は気がつかなかったのです。