「?!!!!」
急に上機嫌になってキセルの煙を吐くイモムシ。
用意していたどの返答をとっても対応できない会話の展開に頭がついていかない。
「あの、その曲はイモムシさんが録音したものなんですか?」
『あぁ、そうだぞ!これは私の“ふぁーすとシングル”だ!』
慣れない単語を自慢げに使いこなす巨大イモムシ。
なんの壁もなく話しかけるシラユキくん。
(な、何?私の適応能力が低いだけなの?不思議の国では、この関係が当たり前なの?)
混乱状態で彼らを見つめていると、イモムシはふと眉を寄せて私たちに言った。
『それで…?お前たちは何の曲を聴きたいんだ?リクエストなら大歓迎だぞ!』
(!)
私は、イモムシとの間に生まれている誤解を訂正するべく、覚悟を決めて彼に声をかける。
「た、大変申し訳ないんだけど、私たちはあなたの歌を聴きにきたわけじゃないの…!」
『!!』
私の言葉に落雷レベルの衝撃を受けている様子のイモムシ。
少しかわいそうだが、同情して話を合わせている場合ではない。
私は、イモムシを見つめたままそっ、と尋ねた。
「私たちは、“真実を歌う笛”がこの森にあると聞いてやって来たの。…イモムシさんは、笛について何か知りませんか?」