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「んぎゃ!!」


「だ、大丈夫?!シラユキくん!」


森を進むこと数十分。

私は、とても“信じられない光景”を目にしていた。

シラユキくんは、5歩歩けば木の葉に隠されていた木の根っこに足を取られ、10歩歩けばクモの巣に顔面ダイブ。


「あはは、僕ね、人より“ちょっとだけ”運が悪いんだあ。こういうことはよくあるから、気にしないで。」


「う、うん…。」


ぎこちなく、こくり、と頷く。

そして、おずおずと彼に尋ねた。


「シラユキくんはどうしてそこまでして笛を探しているの?…もしかして、何か尋ねたい問いでも?」


すると、シラユキくんは笑いながら私に答えた。


「ううん。僕はオズの笛探しを手伝っているだけ。何と言っても、僕はオズの友達だからね!」


にこにこ笑うシラユキくんは、自慢げにそう言い切った。

彼は葉っぱをかき分けながら続ける。


「僕の他にもう1人、“カグヤ”っていう男がいるんだけど…3人は幼馴染みでさ。オズに付き合って、なんとなく流れで手伝うことになったんだよ。たしか、僕たちが出会った9年前からかな。オズが8歳の時からだから。」


「へぇ…」


(9年前…といえば、私も8歳だ。…オズって、私と同い年だったのね。)


そんなに昔から笛を探していたなんて驚きだ。


(…まさか、笛が見つからないのもシラユキくんの不運のせいなんじゃ…)


…と。

私が、つい、最凶レベルで失礼なことを考えていた

次の瞬間だった。