俺は複雑な気持ちを押し込め、彼らに尋ねる。


「あんたらがここまで持ってきてくれたのか?この荷物、重かっただろ。シラユキはどうした?」


毎日のように顔を出していた彼が来ないなんて。

いや、別に会いたいわけではないが、なぜか気になる。

…というより、“嫌な予感”がする。


すると、小人たちはソファにダイブしながら答えた。


『シラユキなら、笛を探して“不思議の森”にいったよ!』


『そう!“エラと一緒に”!』


「!!」


俺はその言葉に耳を疑った。

熱を持つ体に激震が走る。


「…嘘…だろ…?」


嫌な予感が的中し、俺は、ばっ!とパジャマを脱ぎ捨てた。

素早くシャツを羽織り、ベルトを締める。


『オズさん?!どこいくの?』


「決まってるだろ…、シラユキを追いかけるんだよ…!」


その答えに、小人たちはわらわらと集まり『ふらふらだよ…!』『むちゃだよ…!』と俺を止める。

俺は、そんな彼らに動揺しながら言った。


「あんたらも知ってるだろ、シラユキが魔力以外に持つ“天性の力”を…!」


『『!!』』


7人の小人たちは、ぱち!と目を見開く。

中にはそれを聞いただけで青ざめているのもいた。


「…俺がエラを連れ戻す…!風邪なんかでぶっ倒れてられるか…!」


ぐらり、と視界が揺れるが、そんなことを気にしていられない。


(…何か起こる前に間に合ってくれ…!)


俺は小人たちの制止を振り切り、だるい体を気力だけで起き上がらせながら家を飛び出したのだった。


《オズside*終》