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2人の背中が森の闇に溶け込んで見えなくなった頃。
チェシャのローズピンクの瞳が、ボゥッ!と光を放った。
…シュン…
その瞬間。
分かれ道に現れたのは1つの立て看板。
“キケン!コノサキニススムナ!”
「…。」
細められた彼の瞳は、何も映していない。
「…ばかだなぁ、あの子。僕なんかを信じきっちゃってさ。」
ぽつり、と呟かれた言葉は、しぃん、とした森に響く。
「…エラはこの世に、2人もいらない。」
フッ…!
チェシャの体は、魔力で消えた。
森の木々がざわめき、闇の葉が震える。
彼の言い残した言葉が、森に消えた2人に届くことはなかったのです。