シラユキくんが、目を見開く。
小人の持ってきた情報は、私に無関係ではない。
(“真実を歌う笛”が見つかった…?本当に?!)
小人達は得意げにシラユキくんを見上げて報告している。
『“不思議の森”でみたんだ!』
『おおきなおじさんが、笛をくわえて歌ってた!』
有力な手がかりに鼓動が高鳴る私。
シラユキくんは小人達に「ありがとう…!すごいよ、みんな!」と目を輝かせている。
「“不思議の森”…」
しかし、そう呟いたチェシャだけは、なぜか渋い顔をしていた。
「…?チェシャ…?」
小さく彼の名を呼ぶと、チェシャはふっ、と私を見上げた。
ローズピンクの瞳が細められる。
と、その時。
シラユキくんがぱっ!と私を見て口を開いた。
「こうしちゃいられないね。さっそく不思議の森に行かなくちゃ!…エラちゃんも行くでしょ?」
「えっ!」
目を見開くと、シラユキくんはにこりと笑って私に続ける。
「オズから聞いてるよ!君は笛を探す“同志”だって。」
(“同志”…)
オズとの秘密の関係が、表向きは“同志”ということになっているらしい。
だが、今は話を合わせてシラユキくんについて行くことが得策だ。