ゴォッ!!


「?!!」


突然、扉の向こうから風の気配を感じた。

まるで掃除機のように、こちらの世界の空気が扉の奥に吸い込まれていく。


ずるっ!


ドアノブに触れていた手が、するり、と扉の向こうに引きずり込まれた。

その吸引力は、ダイソンをも軽く上回る。


(嘘?!!入れるわけが…)


と、死を覚悟した瞬間。

レンガ1個分ほどのサイズだった小さな扉が、私の体に合わせてブワッ!と広がった。

目を見開くと、視界の先に白い螺旋階段と真っ暗な闇が見える。


(えっ……?!)


思考回路が止まったその時。

私の体は一気に扉の向こうへと吸い込まれた。


「きゃぁぁぁっ?!!」


ぐらり!と視界が反転する。

ビルの上から飛び降りたように、真っ逆さまに訳の分からない世界へと落ちていく。

私の視界に映るものは目まぐるしく変わり、歯車じかけの時計がぐるぐると針を進め、巻き戻る。


(なっ、なっ、何?!!)


追いかけたことにバチが当たったのだろうか。

急に過去の自分の行動を反省する私。

頭がショートして、何が起こっているのか分からない。

とりあえず、全てが分からない。

その時、脳裏に浮かんだのは夢で見た彼。


「…っ!ウサギさん…っ!!!!!」


ぎゅっ!と目を閉じて、彼の名を口にした

次の瞬間だった。