(え?)


と、次の瞬間。

目の前の青年が、ぱぁっ!と顔を輝かせてチェシャに答えた。


「あれ?チェシャじゃないか…!久しぶりだねっ!元気〜??」


穏やかに笑う青年は、どうやらチェシャの知り合いのようだ。

偶然の再会に喜んでいる様子の青年は、淡いブロンドの髪に道端に転がるリンゴと同じ色の綺麗な瞳。

その外見は見惚れるほど整っていて、同い年くらいの印象だ。

私は、転がった果物を拾い上げながら彼に声をかける。


「だ、大丈夫ですか…?」


おずおずと差し出すと、初めて青年と目があった。


「あ!ありがとう!ええっと…君はチェシャの友達?」


リンゴ色の瞳に私が映る。

私は、そんな彼に答えた。


「はじめまして、エラです…!」


すると、隣のチェシャがわずかに肩を震わせた。


「“エラ”…」


チェシャが小さく呟いた、次の瞬間。

リンゴ色の瞳の青年が、驚いたように目を見開いた。


「もしかして君が、オズの言っていた“エラ”ちゃん?」


「え!」