「わぁぁっ!待ってぇーっ!!」


「「?!」」


突然、背後から誰かの声が聞こえた。

ばっ!と後ろを振り返ると、大荷物を持った青年が坂道で転がるリンゴを追いかけている。


(えっ?!)


とっさに転がって来たリンゴを拾い上げると、彼は、ホッとした様子でにっこり笑う。


「あっ!ごめんなさいっ、ありがとう……」


と、青年が言いかけた

次の瞬間だった。


ガッ!!


「あっ」


「「!!」」


道端の石に足を取られた青年。

彼の抱えていた荷物が一気に宙を舞った。

スローモーションに倒れゆく彼。


(危な………)


嫌な予感がしたその時。

青年は予想通り地面に勢いよく倒れ込んだ。


ドッシャァァァっ!!


道端に転がる果物たち。

呆気に取られる私とチェシャ。


「…痛ぃ………」


小さく聞こえた彼の呻き声に手を差し出そうとすると、落ちた林檎を拾っていたチェシャが、はっ!と声をあげた。


「あれ?シラユキ?」