私は彼から視線を逸らす。

そして笛を抱きしめながら、苦し紛れに叫んだ。


「あの、ごめんなさい…っ。最初はこうするつもりじゃなかったの!私は、“ウサギさん”に乗せられただけで…っ!」


「!」


すると次の瞬間。

オズのエメラルドの瞳が見開かれた。

ばっ!と肩を掴まれる。


(ひぃっ?!お、怒られる…っ!)


ジョーカーに突き出されることを覚悟した

その時。

オズは、表情を一変させて口を開いた。


「…今、なんて言った…?」


「え…?」


真剣なトーンに目を見開くと、彼はどこか動揺した様子で言葉を続けた。


「今、“ウサギさん”って言ったよな?まさか、闇市の会場にあいつがいたのか…?!」


(っ、え…?えぇ…??)


戸惑いの中、私は彼に答える。


「そ、そうだよ。私はウサギさんに闇市のことを聞いて一緒に来たの。オークションの時もずっと隣にいたし…」