(…!嘘、でしょ…?)


一気に脱力する私。

隣の青年も、「くそ…、あの豆まきジジイ…」と悪態をついている。

通信機の向こうの彼は、苦笑している様子でオズに言った。


『カグヤが問い詰めたら、犯人があっさり白状したんだよ。…まぁ、真実は歌わなくても、“1000万の笛”だからね!そんなに落ち込まないで!』


(…正しくは“偽1000万の笛”だけど…)


と、その時。

彼の言葉を聞いたオズが、ぴくりと肩を揺らした。

そして、ゆらり、と私の方を見て低く呟く。


「…そういやあんた、あの大金、偽装してたんだろ?」


「っ!」


ぎくり、とする私に、彼は軽蔑の視線を向けて続けた。


「笛が偽物だったからといって、あんたの罪を見逃すわけにはいかないな。」


「で、でも!もし私が不正に競り落とさなかったら、貴方が偽物に大金を騙し取られることになってたんだよ…?」


「自分に感謝しろってか?仮にそうなっていたとしても、どのみち犯人を捕まえれば金は戻ってくる。」


(正論すぎて“ぐぅ”の音も出ません…っ!)