ザァァアッ!!


その時。

激しい水の音が耳に届いた。

崖の下は川が流れているようだ。


(岩に体が叩きつけられる前に、やるしかない…っ!)


私は、無我夢中で眼下の岩へと手を伸ばした。

空色の魔力がパァッ!と広がる。


「っ…?!」


私を抱きしめる彼が目を見開いた瞬間。

落下地点に飛び出す岩が、雲のような風船へと形を変えた。


ぼすんっ!!


2人の体が雲に沈む。

間一髪のところで間に合ったようだ。


(…た、助かっ……)


体の力が抜けた、次の瞬間。

私たちを受け止めた風船が、パァン!と割れた。


「「?!!」」


襲いかかるのは激しい流れの大量の水。

飲まれるようにして私の体は川の中へと引きずりこまれた。


ズルッ!!


彼と私が、水の勢いによって引き離される。


(っ!!)


考える余裕もなく、体が流されていった。

聞こえるのは水の音だけ。

ゴポゴポと、必死で息をする。


(…っ、苦しい…っ、…誰か……っ…!)


体の感覚さえ分からなくなり

意識が遠のきそうになった

その時だった。