先程自分が言った言葉をそのまま返され、何も言い返せない様子の男。
少しスッキリした私の隣で、エメラルドの瞳の彼は黙って目を細めている。
するとその時。
自分の計画が全て台無しになった男が、苛立ちがピークに達したようにギン!と私を睨みつけた。
「…許さないぞ…、小娘…!」
(…っ!)
目の色が変わった男に、ぞくり!と背筋が震える。
男は、私を見つめたまま低く言った。
「…お前、この笛が欲しいんだよな?金を偽装してまで落札するくらいだもんなあ…?」
「…!」
(…この男、何をするつもりなの…?)
エメラルドの瞳の彼が、くっ、と眉を寄せたその時。
犯人の男は私たちの予想を超える行動に出た。
「そんなに欲しいなら、くれてやるよ!」
突然。
男が手に持っていた笛を空に投げた。
「「!!」」
私と青年が目を見開いた瞬間。
笛は重力に引き寄せられて落下していく。
橋の上の男は不敵な笑みを浮かべていた。
(っ!私にとっての唯一の手がかりが…!!)
ばっ!
無意識に足が動いていた。
笛を追って、橋へ駆け出す。
私の行動を察したエメラルドの瞳の彼が叫んだ。
「っ!おい、嘘だろ…っ!」