場の空気が一瞬にして変わった。
仲間から連絡を受けた犯人だけでなく、私の隣にいる彼も予想外だったようで目を見開いて私を見つめている。
(ば、バレちゃった…?この状況で…!)
どこか呆れたように私を見おろすエメラルドの瞳の彼。
自分が助けた女の子が、敵と同じ犯罪者だったことに複雑な心境のようだ。
(ご、ごめんなさい…)
心の中で謝っていると、苛立たしげに電話をブツリ!と切った男が私に向かって怒鳴った。
「…くそ…!俺を騙すなんて、やってくれたな…!あの大金が全てコピーされた偽物だったなんて…お前、人としてどうなんだ!」
(…っ!)
痛いところを突かれたが、元々この策を講じたのはこの場にいない“黒ウサギ”だ。
私は、もう堕ちるところまで堕ちたことで怖いものなんてなくなっていた。
私は、高らかにクズ発言を口にする。
「あの闇市は元々非合法のオークションでしょ…!だっ、騙される方が悪いのよっ!」
「…ぐ…っ!」