数分前に詐欺を働いた私が人を非難する資格はないのだろうが、向こうが悪いのも事実だ。

すると、男は私の言葉に腹が立ったのか、足を止めて私を睨みつける。


「うるさい!これはもともと俺のものだ…っ!取り返して何が悪い!」


(え…?!)


と、男が叫んだ

次の瞬間だった。


ブワッ!!


男が、外套から“何か”を取り出した。

地面に向かって、ぱらりとそれを撒く。


(!)


目を見開いて地面に落ちたものを凝視すると、それは小さな“豆”だった。


パァァァッ!!


男が魔力で瞳を輝かせる。

息を呑んだ、その時。

急速に豆から茶色の幹が天に伸び、緑のツルが感情を持ったように四方へ広がった。


(っ?!?!まさかこれって、“ジャックと豆の木”……)


すると次の瞬間。

男の魔力に操られたかのように、緑のツルが私に襲いかかる。


「!!」


壁の上にいる以上、ヘタに身動きが取れない。


(逃げられない…っ!)


ぎゅっ、と目を閉じ、痛みを覚悟した

その時だった。



「───競売後の不正取り引きは“ルール違反”だろーが。」


(え……?)