(何言い出すの、この適当ジジイ?!)


ふわふわの白い髪がもはや白髪にしか見えない彼に向かって私は小声で怒鳴る。


「嘘だよね?お金持ってないのに大金を入札するなんて、どうかしてるよ!これで落札しちゃったらどうやって支払うつもり…?!」


すると、危機感を全く感じていないような白ウサギは、フードの奥でニヤリと不敵に笑って囁いた。


「何のために君をここに連れてきたと思ってるんだい?アリス。君に預けた魔法を使えば一発だよ。」


ぞくり…!!


その瞬間。

嫌な予感が確信に変わった。

恐る恐る、頭の中に浮かんだ“最悪の説”を口にする。


「…まさか…シンデレラの魔法でその1000ダイヤ札を大量にコピーして…偽装する…つ、もり…?」


震える私の声。

フードの彼は、にっこりと笑って無邪気に頷いた。


「うんっ!」


「…………。」


これほどまでに大人を殴りたいと思ったことはない。

というよりも、失望を通り越してこの犯罪者と一刻も早く縁を切りたい。

しかし、時はすでに遅かった。

彼の企みに気づいた頃には、もう私はすでに犯罪の片棒を担がされていたのだ。