私は、その言葉にはっ!とした。

そして、記憶を遡るように彼に答える。


「私も。…色んなことがあったもんね。」


「あんたが予想外のことばっかりするから、振り回された記憶しかないな。」


「そ、そんなに?例えば?」


すると、オズがさらりと呟いた。


「トレメインの城で、あんたが俺にキスした時とか。」


「っ!」


触れられたくない過去を掘り起こされ、どきり!とする私。

平然とする彼は、私を横目に言葉を続ける。


「俺にもしてくれんの?」


「っ、しないよ!!!」


「なんで。」


「え?!だ、だって、あの“オズ”は人形だったから…!」


(本人にするなんて、緊張でぶっ倒れるよ…!)


廃墟の遺跡でキス寸前になった記憶が頭をよぎる。

オズが、低い声で呟く。


「…だいたい、俺、まだあんたから返事もらってないけど。」


「え?」


「告白のだよ。…あんたは俺のこと好きなの?」


直球の質問に、つい彼から目を逸らした。

意識しすぎて顔が見れない。


「…い、言うの恥ずかしいよ。」


「ふーん…」