「お邪魔しまーす…」


躊躇しながら中に入ると、どこか知っているような香りがした。

中には、誰もいないようだ。

廊下の先はリビングで、ある程度の家具は揃っていたが、なんとなく生活感のない部屋に違和感を感じた。


(…!)


その時、私は棚に飾られた1枚の写真立てが目に入る。


「見て、オズ…」


「ん?」


写真には、“2人の男女”が写っている。

穏やかに笑う彼らは、見知らぬ出で立ちだが、どこか見覚えがある気がしてならない。

女性は黒髪で可愛らしい美人。

男性はアッシュブラウンの髪で整った顔立ちをしていた。

お似合いの2人だ。


(もしかして、この男の人がここ部屋に住んでいる人なのかな。)


彼らは若く、20歳前後に見える。

距離感から仲の良さが伺えた。


…と、私たちが写真に見入っていた

その時だった。