「ここって…ウサギさんのお家だよね…?」
白い髪の彼に誘われ、城を出た私たち。
連れてこられたのは、私が住まわせてもらっていた、可愛らしい彼の家だった。
庭の裏手に回るウサギさんの後について歩いていると、彼はある茂みの前でピタリと立ち止まった。
(…?)
私が眉をひそめたその時、ウサギさんが桜色の瞳を淡く光らせる。
…と、次の瞬間だった。
パァッ!
突然、茂みの奥に、細やかな装飾が施された“扉”が現れた。
一同が目を見開くと、ウサギさんがちらりとこちらを見て口を開く。
「これは、エラが人間界の恋人に会いに行くために、こっそり通っていた“抜け道”さ。」
「!」
(ということは…)
「つまり、ここを通れば人間界に帰れるってこと…?」
私の問いに、ウサギさんは、にこりと微笑んだ。
どくん!
全身の体温が上がった。
喜び、よりも感動と言った方がいいだろう。
(やっと…、やっと見つけた…!)
言葉に出来ないほどの感情が胸にこみ上げた。
しかし、それと同時に私はウサギさんをじろり、と睨む。
「…ウサギさん。人間界への帰り道がここにあることをいつから知ってたの…?」