「わっ!“ちゅー”……!」


「おい!ばか…っ!!」


(?!!)


突然、遺跡に聞き覚えのある声が響いた。

ぴたりと止まるオズは、キッ!と声の方を睨み、ぶわっ!と魔力を放つ。

すると、その時。

2人しかいないはずの遺跡に、“3人の影”が揺らめいた。

オズの魔法でかき消された魔力に隠れていた彼らが姿を現す。


「っ、もー!シラユキのせいだからねっ!なんで声出しちゃうのさー!」


「ご、ごめんって!」


「…あと少しだったのになー。」


(チェシャと、シラユキくんと、カグヤ…?!)


私は、慌てて彼らに尋ねる。


「い、いつからここに…?!」


「んー、強いて言えば最初からだな。」


さらりと答えたカグヤに、くらりとめまいがした。

まさか、今までの恥ずかしいやりとりを全て見られていたなんて。

オズは、「お前ら…」と低く唸り、眉を寄せている。

…と、その時。

シラユキくんが、オズに歩み寄った。


「…オズ、本物…?」


人間の姿を初めて見たような彼に、オズはこくりと頷く。


「あぁ。…今まで、黙っていて悪かった。“友人”として、お前らを騙すような真似をして…」


シラユキくんとカグヤは、ちらり、と目を見合わせた。

顔を伏せるオズに、2人はすべてを受け入れたかのように目元を緩める。

シラユキくんが、優しく囁いた。


「そんな顔しないでよ。僕たちは、“幼馴染み”でしょ?今さらオズが人間だったからって、関係が変わるわけないよ。」


「!」


目を見開くオズに、カグヤも小さく微笑んで続ける。


「そうだな。シラユキの言う通り、今さら他人には戻れねえな。…ま、後で1発殴ってチャラにしてやるよ。」


「う…」