どくん、と心臓が鳴った。

どきどき、と鼓動が早くなる。


「“契約”、って…?」


躊躇しながら尋ねると、オズは少しの沈黙の後、口を開いた。


「魔力を得る代わりに、俺はトレメインに逆らえなくなった。…あの女の命令には絶対服従。もし、契約を破ったり正体がバレて処刑されたら、“死後の魂も囚われる”。」


(!!)


その時、広場でのトレメインの言葉が頭に響いた。


“今でもオズは私の“しもべ”。このまま処刑されてもオズの魂は私のもの…!これで、あの子は完全に私のものになる…!!”


(あれは、このことを言っていたんだ…!)


オズは、ぼそり、と言葉を続ける。


「恐らくトレメインは、あんたが俺の探す彼女だと勘付いた。…だから、トレメインはあんたを処刑させて俺から引き離そうとしたんだ。俺を、一生自分のしもべで居続けさせるために。」


闇に隠れていたオズとトレメインの関係が、全て明るみに出た。

その思惑の奥底にあったのは、“欲”と“執着”。