その場にいた全員が、目を見開いた。

この問いを口にすれば、オズが身を呈して私を守った意味がなくなるということは分かっていた。

だけど、私には人間界への帰り道を聞くなんてことはできない。


「…今すぐ、オズに会いたいの。このまま元の世界には帰れない。」


シラユキ君とカグヤは、何も言わずに私とリューイを見つめている。


「…それで、いいの?」


リューイが小さく尋ねた。

私は、彼に頷く。


「…私は、これまでみんなを騙してきたけど…もう、嘘はつきたくない。」


“真実は笛の答えの先にある”


(…そうでしょう?ウサギさん。)


この場にいない彼が残した言葉は、今、私の進むべき道を教えてくれる。

たとえ、その先が地獄でも。

私は、もう迷わない。


「…分かった。」


ポゥッ!


リューイが、ぽつり、と呟いて魔力を放った。

人々がはけた広場に小さな魔法陣が広がる。

その場にいた全員が、ごくり、と喉を鳴らした瞬間。

真実を歌う笛が、その音色を奏でたのだった。