ポゥッ…!


リューイの魔力に包まれて、魔法陣の刻まれたオカリナが現れる。


(…!)


その光景を見た瞬間。

頭の中に、伯爵のガーデンでのウサギさんとの会話が蘇った。


“君がもし、笛の正体に辿り着いた時。きっとアリスの中には、何を尋ねるべきなのか迷いが出る。”


“え…?”


”だけど君は、本当に知るべきことが何か、ちゃんと理解できる子だ。余計なことは考えずに、素直な気持ちに従えばいいんだよ。…ずっと、君がそうしてきたようにね。”


どくん、と胸が鳴った。

ウサギさんの穏やかな声が、胸に響く。


““笛”を見つけただけじゃ、真実には辿り着けないってことさ。”


「…尋ねたいことは、決まった?」


リューイが、ゆっくりと私を見上げた。

その瞳に映された私の表情に、迷いなど少しもなかった。

彼の問いに頷き、深く息を吸い込む。

そして、覚悟を決めた私は、1度きりの問いを口にしたのだ。


「…オズの居場所を、教えて。」