どきん…!


胸が大きく高鳴った。

リューイの言葉が、体の奥深くまで染み込んでいく。

笛に真実を聞けるのは、“1度だけ”。


(…オズは私を庇う代償に、自分の問いを無効にしたの…?)


全てを理解すると同時に、罪悪感が込み上げた。

やはり、オズは私の正体を知っていたのだ。

そして、彼は気が付いていないふりをして私にカマをかけた。


“アリスのこと…何か知ってるか…?”


“…ごめん。…何も、知らない。”


かつての会話が蘇る。

私は、彼を裏切ったのに。

嫌われることを恐るあまり、本当のことを口に出来なかったのに。


(…オズ。…私のために、自分を犠牲にしたの…?)


その時、リューイがぽつり、と呟いた。


「…エラ。君は僕に何を問う?」


「!」


汚れを知らない澄んだ瞳が私を見つめた。


「オズは、君を無事に人間界に帰すために身代わりとなった。…君は、ずっと、僕を探していたんでしょう?」


どくん。


体が震えた。

たしかにそうだ。

私は、この世界に来た時から、ずっと笛を探し求めていた。

“人間界への帰り道を探すために”。