ピピピピッ!!ピピピピッ!!
「うわぁっ?!!」
機械音とともに視界に映ったのは見慣れた天井。
そこに、“彼”の影すらない。
「…また、か………」
夢は、いつもここで終わる。
…ドサ。
空中に伸ばした手の力を抜いた。
はぁ、と小さく呼吸をすると、私を夢から引き戻したスマホのアラームがプツリと途切れる。
(最近、いつも同じ夢を見る。)
きっと、これは何かの前兆だ。
“予知夢”とか、そういうものに違いない。
だから、私の夢にひょっこり現れた“彼”も、かつて私とどこかで交じり合った人に違いないのだ。
ドンドンドンッ!!
「っ?!」
部屋の向こうから聞こえる扉を叩く音に、びくっ!と体を震わせる。
「“亜莉珠”(ありす)!いつまで寝てるの?!春休みだからって、もうお昼よ!」
(えっ?!)
お母さんの声に、ばっ!とスマホを手に取った。
「す、スヌーズ8回目っ?!!!嘘でしょっ!」
いつもの朝。
いつもの流れ。
今日が、私にとって運命を変える1日になるなんて。
この時の私は、まだ気づいていなかったのです。
プロローグ*終