「「「「「………!」」」」」


思考が停止した。

私だけではない。

チェシャも、シラユキ君も、カグヤも。

その問いを口にしたトレメインですら言葉を失う。


「…え…?」


すぅ…っ、と体の色を取り戻すと同時に、無意識に、ぽつり、と呟いた。

それは、心からの声。

真実を歌う笛から、聞こえるはずのない名前が聞こえた。

笛に歌われる罪人の名は、私のはずだ。

それが、どうして…


「…“オズ”……?」


シラユキ君の震えた声が耳に届いた。

彼の林檎色の瞳が揺れている。


パァン!


リューイの足元に広がっていた魔法陣が砕け散った。

魔力を問いた彼に、動揺した様子のトレメインが、ガッ!と詰め寄る。


「ど、どういうこと…?!私は、“あの女”の正体をバラせと言ったの!話が違うわ…!!」


すると、リューイは表情を変えずに静かに答えた。


「兄さんは嘘は言わない。…そして、僕は貴方の“道具”じゃない。」


「!!」


目を見開くトレメインに、リューイは蜂蜜色の瞳を細めて言い放った。


「オズが人間であることは、貴方が1番わかっているはず。」


(え…?)