(“はめられた”…!!)


そう、気付いた時にはもう遅かった。

周りはジョーカーと不思議の国の住人に囲まれていて、身動きが取れない。


(どうして、あの人は私が“人間”だと、知っているの…?!)


その時、私は、はっ!と唐突に理解する。

トレメインは、エラさんを処刑に追い込んだ張本人だ。

“エラさん”が実体を持っていないことを、知らないはずがない。

…つまり、“ここにエラさんの姿をした私がいること”が、“私が他人に成り代わっていること”の証明なのだ。


(どうして、私がここに来ると分かったの…?!人間界へ帰ろうとしていることや、笛を探していることを知っていなければ、私がここに来ることを予測出来なかったはずなのに…!)


とっさに混乱に陥り、頭の中がぐちゃぐちゃになる。

あらゆる疑問が押し寄せるが、今はそんなことを考えている場合ではない。


ボゥッ!!


リューイの瞳が鮮やかに光り、オカリナがドクン、と脈打った。

誰もが彼を見つめる中、トレメインが余裕の笑みを浮かべて笛に問う。


「みんなに教えてあげなさい。…この国に紛れ込む人間の名を…!」


(っ!!)