ぞくぞくと体が震えた。

ずっと探し求めていた“真実を歌う笛”が、目の前にある。


(やっと…やっと、見つけた…!)


その時。

辺りにトレメインさんの声が響いた。


「皆さん、驚くのはまだ早いわ。私は、真実の笛をお見せしようとして情報を流したのではなくってよ。」


(え…?)


どくん、と胸が鳴った。

ざわざわと騒めき出す広場。

トレメインさんは静かに言葉を続ける。


「…皆さんはご存知よね?この国は、魔法使いだけが住む不思議の国。人間が立ち入ってはいけないのは、古くからの“しきたり”だったことを。」


どくん…!


なぜか、嫌な胸騒ぎがした。

シラユキくんとカグヤも、険しい顔で、高台に立つ彼女を見上げる。


(この人は、何を言おうとしているの…?)


「…だけど、この国には“罪人”がいる。魔法使いのフリをして、のうのうと生きている“人間”がいるのよ。」


その時、トレメインさんは、すっ、とこちらを見下ろした。

薔薇色の瞳に捉えられ、息が止まる。


「…もしかしたら、この広場に集まってきた皆さんの中に紛れているかもしれないわね。」


どくん!


“気付かれている”


そう悟った瞬間、体が金縛りのように動かなくなった。


(まさか…!!)


“最悪の未来”を察し、ぞくり!と体が震えた瞬間、悪魔のような低い“トレメイン”の声が辺りに響き渡った。


「さぁ、処刑の時間よ。今、この場で“嘘つきの仮面”を剥いでみせるわ…!」