何を言いだすんだ、この魔女は。
初めはそう思った。
しかし、少年が蜂蜜色の瞳を輝かせた瞬間、私の疑念は一瞬で吹っ飛ぶ。
パァァァッ!
光とともに少年の手の中に現れたのは、小さな“オカリナ”だった。
ぞわっ!と体に震えが走る。
「…どうなってるの…?」
無意識にぽつりと呟くと、リューイと呼ばれた少年が小さく答えた。
「…僕は“真実を歌う笛”の奏者。…この笛は、魔力で作り出された僕の“兄さん”なんだ。…兄さんは、真実を歌う。…知りたいことをなんでもね。」
(…!)
驚愕の真実に声を失う。
私が今まで追い続けてきたのは、間違いなく少年の笛だ。
探し続けて、見つからなかったわけがようやく分かった。
単に“笛”の形をしたものを探しても見つかるはずなどなかったのだ。
私の脳裏に、かつてのオズの声が蘇る。
“本物の笛は、その証に“魔法陣”が浮かび上がるんだ。”
リューイの手の中にあるオカリナには、彼の魔力と共鳴するように光る魔法陣が見える。
(あれが、“本物”…!)