その場にいた全員が目を見開いた。

声が、出せない。


(“真実を歌う笛”が、見つかった…?)


希望と喜びが胸にこみ上げる。

ぶわっ!と体が熱を持った気がした。


「エラ。」


チェシャが、小さく私を呼ぶ。

そして、彼は興奮するように早口で続けた。


「広場に行こう。人々の騒ぎに乗じて笛を手に入れられるかもしれない。」


「…!」


私は、彼の言葉に期待を持って大きく頷く。


(ついに、人間界に帰れるかもしれないんだ…!)


すると、シラユキくんが通信機に向かって答えた。


「もしかしたら、オズも情報を聞きつけて広場に来るかもしれないね…!」


(!)


オズの消息には不安が残るが、今は広場に向かうことが得策だ。

きっと、シラユキくんの言う通り、人混みの中でオズに会えるかもしれない。


「さぁ、行こう!笛の行方が分からなくなる前に…!」


私とチェシャは、そんなシラユキくんの言葉に「うん!」と答えて走り出した。

…音もなく忍び寄る“罠の気配”に、気づかぬまま。