どくん!と心臓が鈍く音を立てた。

私と別れた後、オズが姿を消したということだろうか。

魔力も絶っているなんて、普通じゃない。


(…何でだろう。…嫌な胸騒ぎがする。)


思わず、ぎゅ…、と手のひらを握りしめたその時。

シラユキくんの持っていた通信機が、“ピピピピ”、と小さく音を立てた。

彼は、ばっ!と通信機を繋げ、声をかける。


「カグヤ!オズは見つかった…?!」


『いや、どこにもいない。…手がかりすら残してないみたいだ。』


余裕のないシラユキくんの声に、通信機の向こうからカグヤの答えが返ってきた。

そして、カグヤは緊迫したトーンで言葉を続ける。


『それよりも、何だかヤバいことになってるみたいだぜ。』


「“ヤバいこと”?」


シラユキくんが、眉を寄せたその時。

通信機の向こうから、信じられない言葉が返ってきた。


『国の中心部の城の前に、広場を埋めつくすほどのジョーカーと町の奴らが集まってやがる。…どうやら、城に“本物の真実を歌う笛を持っている”と匿名のタレコミがあったみたいだ。』


(!!)