…と、チェシャが、わずかにまつげを伏せた

その時だった。


ドン、ドン、ドン!


「「!」」


突然、玄関の扉を叩く音がした。

外から、緊張感のある声が届く。


「おーい!チェシャ、いるんだろ!開けてくれ…!」


切迫した声に、私は急いで扉を開けた。

すると、その先に立っていたのは血相を変えたシラユキくんだった。


「どうしたの、そんなに慌てて…」


私が彼に声をかけたその時。

シラユキくんは、焦ったように私に尋ねた。


「エラちゃん!ここに、オズは来てないよね…?」


「オズ?」


眉を寄せると、チェシャがシラユキくんに答えた。


「オズならここに来てないよ。…そんなに慌てて、何かあったの?」


すると、シラユキくんは今にも泣き出しそうな声で言う。


「今朝からオズと連絡が取れないんだよ。家に帰った形跡もないし…、通信機が破壊されてる上に、魔力まで消してるみたいで、居場所も分からないんだ。」


(!!)