ぴくん!
その瞬間。
彼の尻尾が微かに震えた。
みるみる彼の機嫌が悪くなっていく。
「…何で、そんなことを聞くの?」
低くなった彼の声に、ごくり、と喉を鳴らして答える。
「初めてトレメインさんに会ったとき、あの人は“エラさん”を嫌っているように見えたの。…私を、魔法で消そうとしたから。」
「!」
「あの人は、エラさんと何の関係があるの…?」
しぃん、と部屋が静まり返った。
険しい顔をしたチェシャが、瞳の色を揺らす。
すると、やがて彼は観念したようにぽつり、と口を開いた。
「…簡単に言うと、トレメインはエラの“継母(ままはは)”。エラのお父さんの再婚相手さ。」
(…エラさんの“継母”…?)
どきりとして目を見開くと、チェシャは複雑な感情が押し寄せたように、低く続ける。
「…そして、今から9年前。トレメインのせいでエラは死んだ。」
「!」