「!!」
オズの言葉に、私は目を見開いた。
(どういうこと…?まさか、オズは人間界への道を知っているの…?!)
と、その時。
私の脳裏に、かつてのウサギさんの言葉が響いた。
“本来、この世界の住人は人間界に行くことが禁じられているんだ。だけど、僕は特別。人間界で生まれた新たな童話を集めて、その物語の住民をこの世界に連れてくる役目。…“シオリビト”を国から任されているからね。”
「…えっと…、オズは、シオリビトにこの世界に連れて来られる前に、人間界の本棚にいたってこと?」
「!」
私の問いに、はっ!としたオズは、少しの沈黙の後、小さく答える。
「…あぁ。…そうだ。」
納得がいくと同時に、人間界への道を知れるかもしれない、という希望が断たれる。
彼は、こほん、と咳をして口を開いた。
「…俺が言いたいのはそこじゃない。」
「え?」
私が聞き返した、次の瞬間。
オズは、何かを決意したように言い放った。
「大事なのは、俺が9年前“彼女”と会ったのは、“人間界だった”ってことだ。」