少しの沈黙の後、オズの声が耳に届いた。


「あぁ。そうだよ。」


ゆっくりとティーカップに口をつけるオズに、私は動揺を悟られぬように静かに尋ねる。


「…えっと…それって、何時頃…?」


オズが、わずかにまつげを伏せた。

ごくり…、と紅茶を飲み込んだ彼は、私を見ずにさらり、と答える。


「…確か、俺が家に帰ったのは日付が変わる前だったな。」


「えっ!」


つい、声をあげた。

そんな私に、オズが目を細める。


「何だよ。俺が一晩中あんたの側にいたとでも思ってたのか。」


「ち、違う違う!」


私は慌てて訂正し、彼を見つめる。

オズは平然とした態度で紅茶をすすっていた。


(…バレて、ない…?)


「…何見てんだよ。」


「いや!な、何でもない…!」


想像と違う答えに、気が抜けた。

私は勝手に、オズに正体を知られたとばかり思っていた。


(なんだ、そっか…。…よかった…)