さらり、と尋ねられ、私はごくり、と喉を鳴らす。


「えっと…き、昨日のことなんだけど…」


躊躇しながら言い出すと、オズは「あぁ…」と呟いて私に言った。


「昨日は悪かったな。ガーデンで、カグヤが迷惑かけた。」


「え…?」


きょとん、とすると、オズは私を見て話を続ける。


「カグヤは、魔法をかけた相手を自由自在に操れる“催眠魔法”を使うんだ。ゾンビを眠らせる魔法に、エラまで巻き込んだみたいでな。」


その時、私は唐突に理解する。

ガーデンでゾンビと骸骨に囲まれた時、強い眠気に襲われて意識を失ったのは、カグヤの魔法が原因だったのか。


(カグヤって、すごい魔法を使えるんだな。…確か、昔話のかぐや姫でも、お屋敷のみんなが眠りにつくシーンがあったっけ。)


眠らせるだけではなく自由に操れるなら、かぐや姫よりもすごい。

…と、その時、私ははっ!とする。


「あの…」


ちらり、とこちらを見たオズに、私は意を決して尋ねる。


「昨日の夜…、眠っちゃった私を家まで送ってくれたのは…オズなの…?」