(無自覚であそこまで言うか…?)


床に座り込んだ俺は、はぁ…!と大きくため息をついた。

エラの性格はよくわかっていたつもりだったが、あの一撃はまともに食らってしまった。

不意打ちに、防御も何もあったもんじゃない。


すっ…


顔を上げると、エラはソファの上で安心しきったように寝息を立てている。

俺は、体の中に湧き上がる熱に突き動かされるように、彼女との距離を縮めた。


…ギシ…


白いソファが軋む音を立てる。

一向に起きる気配がない彼女に、魔法にかかっていることは知っていても無性にイライラした。

脳裏に、俺に化けた伯爵に牙を突き立てられそうになっているエラの姿が浮かぶ。


「…本当に噛み付いてやろうか…」


首元に近づくと、甘い香りがふわりと香る。

未だに、ガーデンのバラの香りに惑わされているのだろうか。

頭が、クラクラする。


…と、唇が彼女の肌に触れかけた

その時だった。