オズの言ったことは、伯爵の提案したものと同じだ。

しかし、1つだけ決定的に違う。

私は、オズから目を逸らさずに言い放った。


「“オズだったから”…!」


「!」


「オズだったから、私は抵抗出来なかったんだよ…!」


その時、私の目に映ったオズの表情を見て、私は、はっ!と言葉を詰まらせた。

目を見開く彼と目が合うと同時に、自分がとんでもない爆弾発言をしたことに気付く。

きっと、先程のオズもこんな感じだったのだろう。

私は、急に何も言えなくなって彼から目をそらした。


…すっ


オズが、私の背中に回す手を肩に移した。

彼からの視線を感じ、体中が熱くなる。


「…なぁ。」


オズが、ぽつり、と囁いた。


「…今の、どういう意味…?」


ぎこちなくオズの方を向くと、彼も私と同じくらい、瞳に熱を宿していた。


「…俺になら、何をされてもいいわけ?」


(!)


どくん!


緊張がピークに達する。

私は、何も言うことが出来ず、ただただオズを見つめ返す。

それだけで、精一杯だった。

そんな私を見て、オズが小さく息を吐く。

そして、ふっ、と下を向いて呟いた。


「…否定しろよ…ばか……」