『…お前の想う男を演じてやろう。…この男は、いつも貴様をなんと呼ぶ…?』


“オズの声”で、吐息交じりに耳元で囁かれる。

唯一働く理性が、必死に彼を拒んだ。


「…オズは、こんなことしない…!」


震える私の声に、伯爵はくすり、と笑う。

そして、彼は私を試すかのように低く艶のある声で囁いた。


『…なら、想像してみるといい。』


「!」


『…この男はどのように貴様に触れて…、どのように貴様を求めると思う…?』


どくん!!


欲を露わにした“オズ”の瞳が私をとらえた。

身体中が、動けなくなる。

すべての神経が、伯爵の動きに反応してしまうのだ。


シュル…!


解かれる首元のリボン。

ゆっくり外されるボタン。

露わになった私の首元に、伯爵が顔を埋めた。


…ちゅ…


「!」


私の肌に軽く触れた唇に、ぞくり、と甘い痺れが広がる。

意識がふわふわして、私にはもう、抵抗する力がなかった。


『…いい子だ。』


囁かれた声は、吐息となって首元にかかる。

無意識に一筋の涙がこぼれ落ちた。

恐怖なのか、緊張なのか、それすらもわからない。


(…オ、ズ………!)


『…っ…』


噛み付く前の、呼吸の音がした

次の瞬間だった。