「ウサギ…」


と、その時。

少年が、ぽつり、と呟いた。

蜂蜜色の瞳に見つめられたウサギさんは、にこり、と笑って答える。


「あぁ、“リューイ”。待たせたね。」


(“リューイ”…?)


どうやら、この2人は知り合いだったらしい。

ウサギさんへ視線を送っていると、私の心中を察したウサギさんは少年を抱きあげ、地面におろしながら口を開いた。


「アリス、紹介するよ。この子は“リューイ”っていってね。僕の連れなんだ。」


(へぇ…。もしかして、この子が私の名前を知っていたのは、ウサギさんが話したからだったのかな。)


リューイと呼ばれた少年は、くりんと丸い瞳を私に向けている。

どことなく不思議な雰囲気を纏う彼に見惚れていると、ウサギさんが私へ声をかけた。


「そういえば、なぜアリスはガーデンに?」


私は、彼の問いにはっ!として答える。


「実は、ウサギさんを追いかけて来たの。さっきまではカグヤと一緒にいたんだけど…」


ウサギさんは「ふぅん…」と呟き、いつもの笑みで私に答えた。