目を見開く私に、カグヤは続ける。
「俺が単独行動をとって、エラをパーティ会場に連れてってやるよ。“護衛”がいれば安心だろ?」
(…!)
シラユキくんが、驚いて声をあげた。
「何を言い出すの、カグヤ!オズにバレたら怒られるよ…!」
「心配いらない。怒られるのは初めにエラに情報を流したシラユキだからな。」
「っ!ひ、ひどい!」
目を細めたカグヤは、「さっき助けてやっただろ。俺と組むなら“貸し”はチャラにしてやる。」とシラユキくんにワルイ笑みを浮かべている。
(…この人、ちゃっかり楽しんでる…)
私がカグヤへ視線を送ったその時。
カグヤが不敵に笑って囁いた。
「…どうする、エラ。この話にのるなら、笛探しに協力してやるよ。」
「え?」
はっ、とすると、カグヤは笑みを浮かべたまま低く続ける。
「オズが“エラを屋敷に来させたくなった理由”。…知りたくないか?」
(…!)
ごくり、と喉が鳴った。
その交渉を断れるほど、私の心に余裕はない。
「…決まりだな。」
艶のある声で呟いたカグヤ。
もう後戻りは出来ない。
…こうして、私はオズを裏切ったカグヤと共に、夜の屋敷へ忍び込むことになったのだ。