ツキ…!
胸に痛みを覚えた。
笛の情報を流してくれなかったことによるショックではない。
“オズが私から距離を取ろうとしている”
そのことが、無性に悲しくて心が痛い。
…もし、オズが本当に初恋の女の子に出会ったら、どうなるのだろう。
オズは笛を探す理由がなくなる。
笛の情報を私に流さなくなるどころか、会ってさえくれなくなるかもしれない。
…いや、もし会えたとしても、彼の隣には“オズが想い続けた大切な女の子”がいる。
彼女に向けるオズの顔を、私は知らない。
むくむくと、黒い感情が湧き上がる。
「エラちゃん?」
「っ!」
シラユキくんの言葉に、はっ!とした。
カグヤとチェシャも、黙り込んだ私の顔を覗いている。
(わ、私は、今、何を……!)
オズに対する罪悪感が込み上げた瞬間
カグヤが、静かに口角を上げて口を開いた。
「…なぁ、エラ。今夜、俺と一緒に来ないか?」
(!!)