さっきよりも大きな声が出た。

ぱっ!と慌てて口を隠すシラユキくんだが、もう遅い。


「ねぇ、どういうこと?オズが私に言わないように指示したの?」


「え、ええっと…」


林檎色の瞳を泳がせるシラユキくん。

すると、カグヤが私に向かって答えた。


「実はな、伯爵への貢ぎ物の中に“真実を歌う笛”があるかもしれないって情報が入ったんだ。夜な夜な屋敷から響く笛の音を聞いた奴が居るらしくてな。」


「言っちゃうの?!」


カグヤの服を掴むシラユキくん。

しかし、動揺を見せないカグヤはさらり、と続ける。


「今夜、俺たちは密かにパーティに潜入して笛を“少しだけ借りる”つもりなんだが、オズが“エラは連れていかない”って聞かなくてな。」


(…“少しだけ借りる”って、盗むってことだよね?)


平然と犯行予告をするカグヤに、私は複雑な心境で尋ねた。


「なんでオズは私に秘密にしようとしてたの…?」