どこか真剣な瞳で俯くオズに、そっと尋ねる。
「誰かと見間違えたの?」
すると、オズはぽつり、と答えた。
「…会いたくない“魔女”がいてな。…まぁ、あんたには関係のないことだ。」
(…?)
わずかな疑念が生まれるが、オズはその話題を避けるように、ゆっくり体を起こしてベッドの背もたれに寄りかかって言葉を続ける。
「あんた、もう足は大丈夫なのか?」
「え?あ、うん!もう痛みはないよ。」
すると彼は、眉を寄せて口を開いた。
「ひどい怪我をしなかったからいいが、今回の件で分かっただろ?笛欲しさの欲に溺れて無茶するのはやめてくれ。」
「は、はい…」
同い年の彼にお説教され、しゅんとなる。
(確かに、私は本能の赴くままに動いて、その度にオズに迷惑をかけてきた。)
オズは私を見て少し目を細めた。
そして、はぁ、と息を吐いて続ける。
「…って言っても、あんたは聞かないだろうから、どうせなら俺の目の届くところにいろ。」
「え?」
(どういうこと?)
てっきり、迷惑をかけすぎて“同志”の縁を切られると覚悟していた私。
しかし、オズはベッドに寄りかかったまま私を見つめて呟いた。
「俺の目の届くところにいれば、なんかあっても守ってやれるだろ。」