「嘘!!」


とっさに叫び声が出た。

ウサギさんは「当然だろう?人間はこの世界に立ち入ることが禁じられているんだから。」と笑っている。


(“処刑”って…!“少し問題だなぁ”どころじゃないじゃない!)


私は、恐る恐る彼に尋ねた。


「…あの、処刑って?」


「ん?首がポンだよ。」


簡単に言ってくれる。

その、“ポン”は、言葉の通り“ポン”なのだろう。

ウサギさんは、血の気が引いている私に向かって続けた。


「この世界には“ジョーカー”と呼ばれるトランプの警備隊がいてね。人間がいると彼らに知られたら一貫の終わりだよ。」


「…っ。」


(まずいよ、悠長にお話ししてる場合じゃない…!)


「ウサギさん…!」


「ん?」


私は、彼に軽く頭を下げながら告げる。


「さっきは、助けてくれてありがとう。あの、迷惑をかけて申し訳ないけど、帰り道を教えてくれる?“ジョーカー”とかいう警備隊に見つかる前に帰らないと…」


すると、彼は驚くほどあっさり私に答えた。


「うーん。そうしてあげたいのはやまやまなんだけど…」


(?)


きょとん、とする私に、ウサギさんは苦笑して続けた。


「僕には、君を人間界に帰す方法がわからないんだ。」