「今日も寒いねー。」

「……。」

私は、山口 杏

高校2年生

今は、12月だからすっごく寒い!

…で、私が喋りかけてる相手は

「ねぇ!

何か、言ってよ!!

翼!」

「………。」

無言を貫いている高橋 翼。

ものすごくイケメン!

なんと、学校で一番モテるしファンクラブまで、あるのです!!

これでも、私の彼氏…のはずなんだけど。

こんなにも、無視されていると私だって不安になってしまう。
私が、しゅんっとなっていると

「……っ!

え、あ、ど、どどどどうしたの?!」

急に手を繋いできたので、動揺が隠せないよ!

「どうしたって、お前寒いんだろ?

だから、温めてやったんじゃん。

それより、何動揺してんの?」

「だって、急に手をつないでくるから!

それに、びっくりしただけだよ!!」

「ふーん。」

「…嘘だよ。

本当は、嬉しかった!」
本当の気持ちを笑顔で伝えると

「不意打ちは反則なんだよ…」

「へ?なんて…?」

「あーーー!

もう、何でもねぇよ!」

なんで、聞いただけで怒られるの?

意味、分かんない。

まぁ、いっか。

「ほら、着いたぞ。」

そう、今は学校終わりで翼に送ってもらってたところ。

「あ、ほんとだ。

ありがとうー!

じゃあね!」
「あぁ。」

「ただいま~。」

そのまま、自分の部屋に直行してベッドにダイブ!

まだ、繋いでた手の感触がする。

ジンジンする。

私だけ、こんなに好きで。

翼は本当に私の事好きなのかな?

今思えば、一度も好き。って言われたことない。

告白も、私からだったし。

翼の気持ちが分からないよ……。

そう、思いながらいつの間にか眠りについていた。
そんな不安を持ってても翼と関係を続けていて。

だって、好きだから仕方ないよね…?!

ホームルームが終わり、同じクラスの翼と一緒に帰る。

それが、いつも。

「翼、帰ろっ?」

「あー。

今日は一緒に帰れない。」

え?

なんで…?

だって今日は、委員会無いし部活とかもないよね?

って、仕方ないよね!
いちいち、気にしてても!

「そっか、わかった!

じゃあね!!」

そう言って教室を出た直後、

「翼くぅん。

かえろぉ?」

え?

その声は、学校で一番可愛いと言われている、中村 愛莉【なかむら あいり】さん。

って、今翼って言ったよね?!

嘘でしょ…?

中村さんと帰るの?

「……ああ。」
なんで?

そう、言いたかったけど私は走って逃げた。

見るのが、辛くて。

翼の気持ちが分からなくて。

「……うぅ~!

なん…で?」

辛くて、悲しくて、胸が痛いまま通学路を歩いていると

「あの~

大丈夫~?」

ものすごくカッコいい男性が!

「ほぇっ?!あ、う、え?!

あ、だ、大丈夫です!」
そう、私は大の人見知り。

知り合いには話しかけられるけど、知り合いじゃななかったら、パニックに陥る。

っていうか、見られてたんだ…

「いや、大丈夫じゃないでしょ?

山口さん?」

「なんで、名前…」

「え?これでも同じクラスなんだけど…」

「えぇ!?

あ、すみません!」

全っ然知らなかったぁぁぁ!

というか、クラスの人の顔も名前も興味がなくて、覚えてなかった!

「あの、俺の名前分かる?」
「えっと………。

す、すみません。分かりません……」

絞り出そうとしたけど、無理だった。

「ははは…

俺の名前は、加藤 佑真【かとう ゆうま】

ちなみに、山口さんの後ろの席なんだけど。」

「か、加藤くん!

本当にごめんなさいぃぃ!」

「ふっ。

もういいよ。

俺の名前、佑真でいいから。」

「あ、はい!」