聞き慣れた声が、後ろから聞こえてきて、咄嗟に振り返る。



「優太...」



私だけがいたその場所に、彼女は平気で立っていた。




お気に入りの場所、だったのに...


私だけの場所だと思ってたのに...





「あっ!美由!俺、彼女できた!」




私に気づいて、手を振ってくる。

嬉しそうに、満面の笑みで報告する優太



そんな優太に、初めて怒りをおぼえた


分からない。
今考えてみれば、あれは、怒りじゃなくて、ただの嫉妬だったのかもしれない。



けどその時はもう、その場を乗りきることしか考えられなくて、普通に、幼なじみとして、かける言葉を必死になって探した。



「よかったじゃん!優太!彼女のこと、大切にするんだよ?」