ウィーン・・・
聖のいる病室へ行くと、
聖は空を見ていた。
何か、遠い物を見ているように・・・。
「・・・聖?」
「あ、李玖さん」
「李玖でいいよ。
それより、具合どう?」
「あ、はい。
だいぶ良くなりました」
「そっか。良かった」
・・・そういえば
聖の両親って見た事無いなぁ・・・
「ねぇ、聖の親はお見舞い来ないの?」
「あ、はい・・・」
聖の顔が曇った。
「僕は両親に嫌われてるので・・・」
「・・・え」
「僕、身体が弱くて子供の時から入退院を繰り返していたんです。それで手のかかる僕を、嫌いみたいで・・・」
「・・・」
・・・こういう時、なんて言葉をかけたらいいんだろう?
『仕方ないよ』って?
そんなの、ただの同情の言葉にしか聞こえない。