「キャッ‼︎」


短い悲鳴は、白組からのもの。


発端は清水奈々で、それに巻き込まれる形で伊藤明日香と樋口美咲も悲鳴を上げた。


滑ったんだ。


あまりに深く腰を落とし過ぎたせいで、足を滑らせて力の波が俺たち紅組に押し寄せた。


「引け‼︎引くんだ‼︎」


線を越える寸前だった旬が、声を張り上げる。


諦めかけていた「力」を取り戻した綱が、見る見るうちに生き返った。


滑って縄にぶら下がっているだけの清水奈々らに、立ち上がる隙を与えず、俺たちは綱を引く。


面白いように引っ張ることができた。


「みんな、綱を離して‼︎」


薫が後ろから叫んだが、それより先に、白組先頭の戸田裕貴が赤線を踏んだ。


流れる電流に、白組が痛々しい悲鳴を上げる。


「2本目、紅組の勝利」


これで一勝一敗。


次で勝敗が決まる。


でも__分は俺たちにある。


白組は今の2本目の敗戦で、電流によって手に力が入らないこと。


それから足を滑らせて引きずられた清水奈々を始め、何人かの女子が体を打ち付けたこと。


相手の負傷に付け込むのは気が進まないが、この勝負、もう結果は見えている。


俺たち紅組の勝ちだ。