「2本目、よーい‼︎」


ピストルの号砲が放たれる前に、どちらも綱を引き始めた。


綱が震える。


紅組は並びを変えてきていた。


間宮旬は先頭で変わらず、その後ろに安藤直人を配置し、引っ張られないように踏ん張る作戦に出たらしい。


しかし、綱は私たち、白組へ伸びている。


「みんな、一気に引いて‼︎」


私は白組後方から叫んだ。


綱引きで最も肝心要なのは、1番後ろだ。前は引くんじゃない、踏ん張る。後ろに行くにつれ、力を強める配陣がセオリー。そして腰を落とすのが基本。


配置変えが裏目に出た紅組を引くのは、さほど難しいことではなかった。


おまけに、さっきの電流で手が痺れているはず。


今しかない‼︎


綱引きは、均衡が一旦破られると流れは早い。


大きな魚を釣り上げるように、綱が動く。手応えはあった。


勝てる。


2連勝でこの競技はもらった‼︎


必死で歯を食いしばる間宮旬が、中央の赤線を踏むのはもう、時間の問題だ。


私は綱を握る手にグッと力を込めると、一気に畳み掛けた。


「___えっ⁉︎」


思わぬ力に食い止められる。


今さら紅組が持ち返すことはない。


だったらどうして__？